令和2年(2020年)10月

令和2年(2020年10月)問16 都市計画法(開発許可)【宅建過去問】

 

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令和2年(2020年10月)問16<都市計画法(開発許可)>

都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

  1. 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者と協議しなければならない。
  2. 都市計画事業の施行として行う建築物の新築であっても、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、建築物の新築をすることができない。
  3. 開発許可を受けた開発行為により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、工事完了の公告の日の翌日において、原則としてその公共施設の存する市町村の管理に属するものとされている。
  4. 開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができる。  

解答

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①の解説:正しい

【問題文】
開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者協議しなければならない。

都市計画法 第32条2項(公共施設の管理者の同意等)
開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者と協議しなければならない。

ここで、おさえてほしいのは、【開発許可の申請〜完了まで】の流れを把握することです。
時間軸としてどのような順番でどのように手続をしていくのか。
その上で、申請の前に必要なことは、何が必要かを思い出す。そういう視点です。
ピンポイントに申請前のことを覚えても使えません。まず、全体の流れを把握しましょう。
その上で、下記のことを頭に入れてください。

現在【既存の場合】
開発行為に関係がある公共施設
協議+同意
将来【新設する場合】
開発行為により設置される公共施設
協議のみ

設置する場合には、現状管理している者がいないので、「管理者の同意はいらない」と考えればOKです。
そのため、答えは【正しい】
基礎知識です。流れを把握してしっかりおさえましょう

②の解説:誤り

【問題文】
都市計画事業の施行として行う建築物の新築であっても、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、建築物の新築をすることができない。

市街化調整区域のうち「開発許可を受けた開発区域以外」の「区域内」とは
「開発許可を受けた開発区域」以外・・・開発許可を受けていない区域
「区域内」とは・・・市街化調整区域内のこと
なので、「開発許可を受けけていない市街化調整区域内」ということです。
なら、はじめからそう言ってくれ!という感じですが^^;

都市計画法 第43条1項
何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第一項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。

条文の通り、「原則」市街化調整区域では、知事の許可を受けなければ、建物の建築はできない。これは、市街化調整区域の特徴を考えれば当然のことですよね。
特徴を答えられない人は、再度確認しよう。基礎中の基礎です。

(続き)
ただし、次に掲げる建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設については、この限りでない。
一 都市計画事業の施行として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設

しかし、許可を受けなくても建物の建築ができるケースがある。
それが、都市計画事業の施行として行う場合。
これもよく考えれば、「都市計画事業」の過程の中ですでに都道府県知事の協議や同意の過程があるのだから、ここで改めて許可を受けなければならないとするのは、手続きがダブるので不要ですよね。
と考えれば、この場合は、許可を受けなくてもOKと考えられますね。
そのため、答えは【誤り】

③の解説:正しい

【問題文】
開発許可を受けた開発行為により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、工事完了の公告の日の翌日において、原則としてその公共施設の存する市町村の管理に属するものとされている。

都市計画法 第三十九条 (開発行為等により設置された公共施設の管理)
開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、第三十六条第三項の公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属するものとする。ただし、他の法律に基づく管理者が別にあるとき、又は第三十二条第二項の協議により管理者について別段の定めをしたときは、それらの者の管理に属するものとする。

条文の通りです。開発行為によって公共施設が作られたのであれば、それは市町村にかんりしてもらいましょう。なので、答えは【正しい】です。
開発行為の流れを把握しましょう。

④の解説:正しい

【問題文】
開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができる。 

都市計画法 第四十五条 
開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権その他当該開発行為に関する工事を施行する権原を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができる

なので、承認を得られれば承継できるで、答えは【正しい】
合わせて次のことも覚えておこう

都市計画法 第44条(許可に基づく地位の承継)
開発許可又は前条第一項の許可を受けた者の相続人その他の一般承継人は、被承継人が有していた当該許可に基づく地位を承継する。

相続の場合は、当然承継できるので、承認も不要です。

<まとめ 正解:2>
①は、基礎知識です。
②は、基礎知識です。
③は、基礎知識です。
④は、基礎知識です。
全体的な流れをしっかり把握した上で、なぜそれが必要なのかを理解していくとより深く記憶されます。ここは、確実に得点したいところ。

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