令和2年(2020年10月)問20<土地区画整理法>
土地区画整理組合(以下この問において「組合」という。)に関する次の記述のうち、土地区画整理法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 組合の設立認可を申請しようとする者は、施行地区となるべき区域内の宅地について借地権を有するすべての者の3分の2以上の同意を得なければならないが、未登記の借地権を有する者の同意を得る必要はない。
- 組合の総会の会議は、定款に特別な定めがある場合を除くほか、組合員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
- 組合が賦課金を徴収する場合、賦課金の額は、組合員が施行地区内に有する宅地又は借地の地積等にかかわらず一律に定めなければならない。
- 組合の施行する土地区画整理事業に参加することを希望する者のうち、当該土地区画整理事業に参加するのに必要な資力及び信用を有する者であって定款で定められたものは、参加組合員として組合員となる。
解答
①の解説:誤り
【問題文】
組合の設立認可を申請しようとする者は、施行地区となるべき区域内の宅地について借地権を有するすべての者の3分の2以上の同意を得なければならないが、未登記の借地権を有する者の同意を得る必要はない。
土地区画整理法18条(要約)
組合の設立認可を申請しようとする者は、施行地区となるべき区域内の宅地について所有権を有するすべての者及びその区域内の宅地について借地権を有するすべての者のそれぞれの3分の2以上の同意を得なければならない。
土地区画整理法19条3項
前項の規定により公告された施行地区となるべき区域内の宅地について未登記の借地権を有する者は、前項の公告があつた日から一月以内に当該市町村長に対し、その借地権の目的となつている宅地の所有者と連署し、又はその借地権を証する書面を添えて、国土交通省令で定めるところにより、書面をもつてその借地権の種類及び内容を申告しなければならない。
土地区画整理法19条4項
未登記の借地権で前項の規定による申告のないものは、前項の申告の期間を経過した後は、前条の規定の適用については、存しないものとみなす。
土地区画整理組合を設立するには、「所有者」「借地権者」各2/3以上の同意が必要です。ここまで、基本知識です。
次に未登記の借地権ですが。
未登記であったとしても、借地権の権利を持っているのであれば、当然同意を得る必要があると推測できますね。
なので、答えは【誤り】となります。
では、具体的にどんなケースが考えらえるかというと
未登記の借地権なので、建物が無い状態が考えられるわけです。
例えば、借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失してしまった。こうしたことがあったとしても、借地権は消滅しませんね。
これは、権利関係(民法)の借地権で学習するところです。
しかし、建物が無ければ、第三者から見て誰が借地権者か分かりません。
そこで、「宅地の所有者と連署し、又はその借地権を証する書面を添えて・・・申告すること」にしたわけです。
借地権についての正しい知識があるとより深く理解できますね。
②の解説:正しい
【問題文】
組合の総会の会議は、定款に特別な定めがある場合を除くほか、組合員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
土地区画整理法 34条1項
総会の会議は、定款に特別の定めがある場合を除くほか、組合員の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は、定款に特別の定めがある場合を除くほか、出席組合員の過半数で決し、可否同数の場合においては、議長の決するところによる。
条文のどおりなので、答えは【正しい】
組合員のところは、試験に出やすいポイントなので、ある程度細かいところまで覚えておきましょう。
③の解説:誤り
【問題文】
組合が賦課金を徴収する場合、賦課金の額は、組合員が施行地区内に有する宅地又は借地の地積等にかかわらず一律に定めなければならない。
土地区画整理法 40条2項 経費の賦課徴収
賦課金の額は、組合員が施行地区内に有する宅地又は借地の位置、地積等を考慮して公平に定めなければならない。
これは、ほとんどの人が知識としては知らない情報だと思いますが、推測出来ますね。
よくよく考えてみると、土地の面積が10,000㎡の人と10㎡の人が一律に支払うとしたらそれはかなり不公平ですよね。
そう考えれば、条文を知らなくても当然答えは【誤り】となります。
④の解説:誤り
【問題文】
組合の施行する土地区画整理事業に参加することを希望する者のうち、当該土地区画整理事業に参加するのに必要な資力及び信用を有する者であって定款で定められたものは、参加組合員として組合員となる。
土地区画整理法25条1項 組合員
組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。
土地区画整理法25条の2 参加組合員
前条第1項に規定する者のほか、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社その他政令で定める者であつて、組合が都市計画事業として施行する土地区画整理事業に参加することを希望し、定款で定められたものは、参加組合員として、組合の組合員となる。
「組合員」と「参加組合員」をしっかり理解する必要がありますね。
参加組合員は、「必要資力及び使用を有する」かどうかは問われていないため、
答えは【誤り】となります。これは、基礎知識です。
<まとめ 正解:2>
①は、基礎知識&推測で解けますね
②は、少し細かい知識ですが、覚えておきたいところです。
③は、知らなくても推測出来ますね。
④は、基礎知識です。
細かい知識を問われていますが。基礎知識から推測出来れば解ける問題です。
そういった意味では、②を知らなくても①③④は、基礎と推測で判断できるので、正解の②にたどり着くことが出来るわけです。
細かい情報を覚えるよりも、基礎知識を覚えながら推測力を高めましょう。