令和2年(2020年10月)問21<農地法>
農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- 法第3条第1項の許可が必要な農地の売買については、この許可を受けずに売買契約を締結しても所有権移転の効力は生じない。
- 市街化区域内の自己の農地を駐車場に転用する場合には、農地転用した後に農業委員会に届け出ればよい。
- 相続により農地を取得することとなった場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
- 農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
解答
①の解説:正しい
【問題文】
法第3条第1項の許可が必要な農地の売買については、この許可を受けずに売買契約を締結しても所有権移転の効力は生じない。
農地法 第3条(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
1.農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。
6.第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。
②の解説:誤り
【問題文】
市街化区域内の自己の農地を駐車場に転用する場合には、農地転用した後に農業委員会に届け出ればよい。
農地法 第4条1項 農地の転用の制限
農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(又は指定市町村の長)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
農地法 第4条1項8号
市街化区域内にある農地を、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものにする場合
農地転用は、原則許可が、必要になりますが。
市街化区域内にある農地を農地転用する場合は、あらかじめ農業委員会に届け出すればよい
そのため、答えは【誤り】です。基礎問題ですね。
③の解説:誤り
【問題文】
相続により農地を取得することとなった場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
許可不要の場合
①相続 | 相続・ 遺産分割 ・財産分与・包括遺贈、 相続人への特定遺贈 、法人の 合併 等 ※相続の場合は、許可は不要 ただし、取得した旨を、原則として農業委員会に届け出なければならない |
②国 | 権利を取得するものが国・都道府県 |
③法 | 土地収用法等によって権利が収用・使用(転用)される場合 民事調停法による農事調停で取得する場合 |
原則は許可が必要になりますが。例外として許可不要となるケースが上記になります。
そもそも①は、相続で権利が移転するわけなのでそれを許可制にするのは、無理がありますよね。②や③については、国や法的な流れで行うものなので、許可は不要ということです。
基礎知識ですが。丸覚えではなくなるほどと理解しながら覚えていきましょう。
そのため、答えは【誤り】基礎問題です。
④の解説:誤り
【問題文】
農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
農地法 第3条1項(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。
農地法の意図としては、農地を保全する為に作られた法律です。
そのため、勝手に所有者が変わったり、農地を変更することを出来なくしたわけです。
抵当権は、所有者は変わらないですし利用用途も変わらないですよね。
なので、3条の許可は不要となるわけです。
そのため、答えは【誤り】基礎問題です。
<まとめ 正解:1>
①は、基礎問題です。
②は、基礎問題です。
③は、基礎問題です。
④は、基礎問題です。
これは、ラッキー問題ですね。
サクッと解答出来るようになりましょう。