令和2年(2020年10月)問25<不動産鑑定評価基準>
不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
- 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、不動産についての現実の使用方法は当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。
- 対象建築物に関する工事が完了していない場合でも、当該工事の完了を前提として鑑定評価を行うことがある。
- 特殊価格とは、一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいい、例としては、文化財の指定を受けた建造物について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合において求められる価格があげられる。
- 原価法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効な手法であるが、対象不動産が土地のみである場合には、この手法を適用することはできない。
解答
①の解説:正しい
【問題文】
不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、不動産についての現実の使用方法は当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。
最有効使用の原則
不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む
使用(最有効使用)を前提として把握される価格を基準として形成されるということです。
不動産の価格は、その想定できる利用方法によって価格が変わります。
例えば、【土地】の価格を算出する場合。
・土地Aは、2階建ての建物を建築することができる
・土地Bは、10階建ての建物を建築することができる
同じ立地条件だとしたら、Bの方が価格が高くなります。
そのBの土地に平屋の戸建てがあったとしたら、その土地は、現実の使用方法としては、十分な効力を発揮していないといえます。
不動産の価格を求めるのであれば、現在使われている平屋の戸建ての状態(現実の使用方法)ではなくその土地が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提に価格を算出するということです。
そのため、答えは【正しい】
常識的に考えてもたどり着く答えだと思います。
②の解説:正しい
【問題文】
対象建築物に関する工事が完了していない場合でも、当該工事の完了を前提として鑑定評価を行うことがある。
記述のとおりです。そのため【正しい】
建物が出来る予定であれば、それを想定した鑑定評価も出来ると推測できる。
③の解説:正しい
【問題文】
特殊価格とは、一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいい、例としては、文化財の指定を受けた建造物について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合において求められる価格があげられる。
記述の通りです。そのため【正しい】
基礎知識なので、ここはしっかりおさえておきましょう。
④の解説:誤り
【問題文】
原価法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効な手法であるが、対象不動産が土地のみである場合には、この手法を適用することはできない。
原価法
現時点における対象不動産の再調達原価を求め、減価修正を行って、対象不動産の試算価格を求めます(=積算価格)。
再調達価格
対象不倒産を価格時点において再調達することを想定した場合 において、必要と
される適正な 原価の総額 をいう
※今、同じ建物を建てたらどのくらいの金額で建てることができるかな?ということ
減価修正
①「耐用年数に基づく方法」と②「観察減価方法」がある①②の方法を「 併用 」するのが原則
※再調達価格から、築年数や現状を観察して新築時とくらべどのくらい価値が下
がっているかを求めていく
【原則 】 土地のみでは、適用しない
対象不動産が、既成市街地の「土地」のみ の場合は、再調達原価を算定するのが難しいため、一般に原価法は適用できない
【例外 】 土地のみでも、適用できる
再調達原価を求めることが容易な造成地・埋立地などのときに「有効」
宅地造成直後と価格時点と比べて、公共施設や利便施設等の整備などによる環境の変化が価格水準に影響を与えていると認められる場合には、地域要因の変化の程度に応じた増加額を 熟成度として加算できる
例:近くに病院やスーパーが出来ると、住宅地としての値打ちが上昇
土地のみでも適用できるため、答えは【誤り】
基礎問題です。
<まとめ 正解:4>
①は、基礎問題です。
②は、知らなくても推測できる
③は、基礎問題です。
④は、基礎問題です。
基礎問題でしたので、確実に得点をとりましょう。