令和2年(2020年10月)問26<宅建業法(免許)>
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)が宅地建物取引業者ではないB社との合併により消滅した場合には、B社は、A社が消滅した日から30日以内にA社を合併した旨を甲県知事に届け出れば、A社が受けていた免許を承継することができる。
- 信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣の免許を受けなければならない。
- 個人Cが、転売目的で競売により取得した宅地を多数の区画に分割し、宅地建物取引業者Dに販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する事業を行おうとする場合には、免許を受けなければならない。
- 宅地建物取引業者E(乙県知事免許)は、乙県内に2以上の事務所を設置してその事業を営もうとする場合には、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。
解答
①の解説:誤り
【問題文】
宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)が宅地建物取引業者ではないB社との合併により消滅した場合には、B社は、A社が消滅した日から30日以内にA社を合併した旨を甲県知事に届け出れば、A社が受けていた免許を承継することができる。

A社は、吸収合併して消滅してしまうわけなので、当然A社の存在がなくなるということです。A社がなくなれば、A社の免許もなくなるという当たり前の話です。
A社の免許にもかかわらずB社が使えたらおかしいですよね。
宅地建物取引業法 第11条1項2号
宅建業の廃業⇒会社の中の様々な部門の中で宅建業だけを「店じまい」すること破産⇒借金をした人が返せない場合、貸した人がその人の一切の財産から公平な
弁済をうけることができるようにする裁判上の手続き
法人が解散⇒会社ごと「店じまい」すること
破産管財人⇒破産手続きにおいて財産の管理、及び処分をする権利を有する者
清算人⇒株式会社の解散・清算事務を行う人
この表も完全にマスターしてほしい内容です。
今回のケースですと、消滅したA社の役員が、消滅した日から30日以内に甲県知事に届け出なければなりません。宅建業とは関係のないB社が届出するのもおかしいですよね。
そのため、答えは【誤り】となります。
誤りか所が2カ所もありました。どちらも基礎の範囲なので、解きやすい問題でした。
②の解説:誤り
【問題文】
信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣の免許を受けなければならない。
宅地建物取引業法 第77条第2項
宅地建物取引業を営む信託会社については、前項に掲げる規定を除き、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなしてこの法律の規定を適用する。
宅地建物取引業法第77条 第3項
信託会社は、宅地建物取引業を営もうとするときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
国土交通大臣に届け出するだけでOKなので、答えは【誤り】
基礎問題です。
信託会社を運営するのは宅建業者よりも厳しい法律をクリアしていること、潤沢な資金力があるので、何かあった時にしっかり解決できる資金力があること、もともと信託の引き受けをする財産の中には不動産が含まれていて、不動産の管理だけでなく売却等の不動産の処分も目的として信託することができる。
そうしたことを総合的に見た時に、信託会社を設立している時点で、宅建免許以上の厳しい基準をもって設立しているとみなされる為、届け出のみでOKとしているということです。
③の解説:正しい
【問題文】
個人Cが、転売目的で競売により取得した宅地を多数の区画に分割し、宅地建物取引業者Dに販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する事業を行おうとする場合には、免許を受けなければならない。
免許が必要となるケースとは
【宅地・建物】+【取引】+【業】=免許が必要
取引とは
① 自ら当事者となって、売買・交換を行います
② 他人を代理して、売買・交換・貸借を行います
③ 他人を媒介して、売買・交換・貸借を行います
業とは
①不特定多数を相手に
②反復または継続して取引を行うことです。
まず、競売により宅地を取得することは、個人でも問題ありませんので、ここはスルーしてもらえればOKです。
売却する時がポイントです。
個人Cは、宅地を、宅建業者Dに販売代理をしているわけですが。
たとえ宅建業者を通して売却を依頼したとしても、「宅地」を「自ら売主で売却」して「その宅地を不特定多数を相手に分譲」する行為は、宅地建物取引業に該当する為、免許を受ける必要があるということです。
そのため、答えは【正しい】です。
基礎問題です。
④の解説:誤り
【問題文】
宅地建物取引業者E(乙県知事免許)は、乙県内に2以上の事務所を設置してその事業を営もうとする場合には、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。
宅地建物取引業法 第3条第1項 (免許)
宅地建物取引業を営もうとする者は、2以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他の政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとする場合にあつては国土交通大臣の、1の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあつては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。
そのため、答えは【誤り】
基礎問題です。
<まとめ 正解:3>
①は、基礎問題です。
②は、基礎問題です。
③は、基礎問題です。
④は、基礎問題です。
これは、簡単でしたね。確実に答えられるようになりましょう。