令和2年(2020年10月)問31<宅建業法(重説)>
宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
- 建物の売買の媒介だけでなく建物の貸借の媒介を行う場合においても、損害賠償額の予定又は違約金に関する事項について、説明しなければならない。
- 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているか照会を行ったにもかかわらず、その存在の有無が分からないときは、宅地建物取引業者自らが石綿の使用の有無の調査を実施し、その結果を説明しなければならない。
- 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは、建物状況調査を実施
しているかどうかを説明しなければならないが、実施している場合その結果の概要を説明する必要はない。 - 区分所有建物の売買の媒介を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならないが、区分所有建物の貸借の媒介を行う場合は、説明しなくてよい。
解答
①の解説:正しい
【問題文】
建物の売買の媒介だけでなく建物の貸借の媒介を行う場合においても、損害賠償額の予定又は違約金に関する事項について、説明しなければならない。
宅地建物取引業法 第35条1項9号
「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
この表を完全に覚えていることが基本です。
なので、答えは【正しい】です。
この表の覚え方は、2つあります。
1つは【理解すること・推測すること】です。
買主や借主としては、契約する前に事前に詳しい情報を知っておきたいですよね?
それをきちんと説明することでトラブルを未然に防ぐことを目的としているのが、重要事項説明書というものです。
そう考えれば、【損害賠償】が発生した時、どのようになるのか。
ということは、事前に知っておきたいですよね?後で「そうだったの?」となっては、トラブルの原因になります。
そう考えれば、当然必要だと。理解することで記憶されます。
また、考え方が分かっていれば、覚えてなくても推測することができますね。
2つめは【記憶術を活用すること】です。
この具体的な方法については、私の講座や資料の中で35条をあっという間に覚えてしまう
方法をお伝えします。記憶術を活用することで、短時間で長期的に覚えることができるようになります。
このような、覚えておけば点数が取れる問題は、さっさと覚えて時間を短縮させて他の勉強をドンドン進めるのが最も効率がいいですね。
基礎問題です。サクッと覚えてしまいましょう。
②の解説:誤り
【問題文】
建物の売買の媒介を行う場合、当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているか照会を行ったにもかかわらず、その存在の有無が分からないときは、宅地建物取引業者自らが石綿の使用の有無の調査を実施し、その結果を説明しなければならない。
宅地建物取引業法 第35条1項14号
宅地建物取引業法施行規則 第16条の4の3第4号
「石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容」について説明する必要があります。調査結果の記録がないときは「調査結果なし」と説明すればよく、宅建業者が調査することまでは要求されません。
この表を完全に覚えていることが基本です。
なので、答えは【誤り】です。
石綿(=アスベスト)があることで、健康被害に見舞われることがあり問題となりました。
なので、買手としては、石綿が使われているかどうかということは、重要な情報ですよね。
そこで、石綿についての説明が必要となりました。
しかし、調査するには費用もかさみ不動産の流通性が低下してしまうことも考えられるためか。すべての取引で調査をしなければならないというところまでは義務図けられていませんでした。
そこで、調査が行われていない。調査結果の記録が無い。ということであれば「調査結果なし」であることを買手にそれを事前に説明することでお互いの取引のトラブルを未然に防ぐようにしているということです。
これが【理解・推測】で覚える方法ですが。
さらに記憶術を活用することで短時間で長期的に記憶することができます。
具体的な内容は、講座の中でお伝えしています。
③の解説:誤り
【問題文】
建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは、建物状況調査を実施しているかどうかを説明しなければならないが、実施している場合その結果の概要を説明する必要はない。
建物状況調査(インスペクション)等に関する事項
既存の建物(中古)の場合は、以下の内容を説明しなければなりません。
①建物状況調査の実施の有無、実施している場合におけるその結果の概要
但し、実施後1年を経過していないものに限ります。
②設計図書、点検記録、その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する一定の
書類の保存状況について書類の有無の説明(書いている内容ではない)が必要
です。
これは常識的に考えても答えがでると思います。
建物状況調査が行われていて、その調査した内容の説明がかったら買主の判断材料にならないですよね。買手にとって調査が行われたことが重要ではなくて、調査が行われた結果、その建物に問題が無いのかどうなのか?ということがもっとも重要なわけですよね。
そうかんがえれは、調査が行われたかどうかの説明だけでOKとするのは、明らかにおかしいと考えることができますよね。
そのため、答えは【誤り】です。
④の解説:誤り
【問題文】
区分所有建物の売買の媒介を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならないが、区分所有建物の貸借の媒介を行う場合は、説明しなくてよい。
区分所有区分所有建物に関するの追加記載事項
これも、この表を完璧に覚えましょう。
考え方としては、「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約」とは、何か?ということがわかれば、当然賃貸でも必要だよね。ということがわかります。
「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約」とは、例えば、「店舗不可居住用としてのみ使用可」「ペットの飼育禁止」などその専有部分で利用できる内容に制限がかかっていることがあります。
これは、区分所有マンションごとのルールですので、所有者であっても賃借人であっても守らなければなりません。そこで、賃貸で借りようとしている人が、「店舗利用目的」「ペットを飼いたい」ということであれば、この説明をきちんと受けておかないと、大きなトラブルになりますよね。
そう考えれば、この内容を説明するのは当然だと推測できますね。
丁寧に読み込み推測することで、知識がなくても解ける問題です。
一方で、記憶術を活用することで、この表を一気に覚えることも出来ます。
どちらにせよここは得点源にしましょう。
<まとめ 正解:1>
①は、基礎問題です。
②は、基礎問題です。
③は、基礎問題です。
④は、基礎問題です。
丁寧に理解して推測すれば解くことも出来ますし。
記憶術を活用して一気に覚えて時間の効率化を目指すこともできるところです。
35条37条を苦手にしている人もいると思いますが。やり方を知っていれば、ここは確実に得点が取れるところです。