令和2年(2020年10月)問35<宅建業法(営業保証金)>
宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- Aから建設工事を請け負った建設業者は、Aに対する請負代金債権について、営業継続中のAが供託している営業保証金から弁済を受ける権利を有する。
- Aが甲県内に新たに支店を設置したときは、本店の最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託すれば、当該支店での事業を開始することができる。
- Aは、営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは、甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
- Aが甲県内に本店及び2つの支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、供託すべき営業保証金の合計額は1,200万円である。
解答
①の解説:誤り
【問題文】
Aから建設工事を請け負った建設業者は、Aに対する請負代金債権について、営業継続中のAが供託している営業保証金から弁済を受ける権利を有する。
宅地建物取引業法 第27条1項
宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。
「建築工事の請負」は、宅地建物取引業となんら関係がないですよね?
ここで言う営業保証金とは、あくまで宅地建物取引業に関して損害が発生した時に弁済を受ける権利を有するのであって、宅建とは関係が無い業務であれば、それは出ません。
そのため、答えは【誤り】です。
宅建業と建築業は別物なので、当然ですね。
②の解説:誤り
【問題文】
Aが甲県内に新たに支店を設置したときは、本店の最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託すれば、当該支店での事業を開始することができる。
宅建業の業務開始の流れ(営業保証金)
【第1段階】免許を取得
【第2段階】営業保証金を本店(主たる事務所)の最寄りの供託所に供託
【第3段階】宅建業者は供託書の写しを添付して、その旨を免許権者に届出
1~3段階を得て、初めて業務を開始できる
新たな支店を設置した場合は、【第2段階の供託】【第3段階の届出】をしてその事務所で事業を開始することができます。
基本の流れを把握しましょう。営業保証金を供託したら、供託したかどうかを免許権者は確認する必要がありますよね。そこで、「営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、免許権者に届け出る必要がある」これで、免許権者としては、営業開始しても問題なしとしているということです。
営業保証金の営業開始までの流れをしっかりイメージした上で、なぜそうなのか?を考えることで、より深く記憶が定着します。
なので、答えは【誤り】
基礎問題です。
③の解説:正しい
【問題文】
Aは、営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは、甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
営業保証金の還付の流れ
還付のながれは、このイメージで覚えましょう。
①からスタートしてどんな順番でなぜそれが必要か?考えながら読み取っていきましょう。
ここでは、「2週間」がキーワードです。
①供託してから2週間以内に届け出
②通知を受けたときから不足額を2週間以内に供託
覚え方は【ニコニコカンフー】で覚えちゃいましょう♪
なので、答えは【正しい】です。
基礎問題です。完全に覚えましょう。
④の解説:誤り
【問題文】
Aが甲県内に本店及び2つの支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、供託すべき営業保証金の合計額は1,200万円である。
供託すべき営業保証金の金額
主たる事務所 | 1,000万円 |
従たる事務所 | 500万円(1か所につき) |
ということは、本店1,000万円と支店2つ500万円×2なので、
2,000万円を供託する必要があるということです。
そのため、答えは【誤り】です。
基礎問題です。
<まとめ 正解:3>
①は、基礎問題です。
②は、基礎問題です。
③は、基礎問題です。
④は、基礎問題です。
簡単な問題です。確実に得点しましょう。