令和2年(2020年)12月

令和2年(2020年12月)問11 借地借家法(借地)【宅建過去問】

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令和2年(2020年12月)問11<借地借家法(借地)>

次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 借地権者が借地権の登記をしておらず、当該土地上に所有権の登記がされている建物を所有しているときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができるが、建物の表示の登記によっては対抗することができない。
  2. 借地権者が登記ある建物を火災で滅失したとしても、建物が滅失した日から2年以内に新たな建物を築造すれば、2年を経過した後においても、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。
  3. 土地の賃借人が登記ある建物を所有している場合であっても、その賃借人から当該土地建物を賃借した転借人が対抗力を備えていなければ、当該転借人は転借権を第三者に対抗することができない。
  4. 借地権者が所有する数棟の建物が一筆の土地上にある場合は、そのうちの一棟について登記があれば、借地権の対抗力が当該土地全部に及ぶ。  

解答

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 ①の解説:誤り

【問題文】
借地権者が借地権の登記をしておらず、当該土地上に所有権の登記がされている建物を所有しているときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができるが、建物の表示の登記によっては対抗することができない。

借地借家法 第10条第1項(借地権の対抗力等)
借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

裁判昭50年2月13日
借地人が借地上に表示の登記のある建物を所有する場合と建物保護に関する法律一条

借地借家法の目的は借主を守るためのものです。
その為、借地権の登記がされていなくても建物に登記がされていれば借地権を主張することができる。ということです。
それは、所有権登記ではなく、表示登記であってもOK

そのため、答えは【正しい】です。
建物の所有権登記については基礎知識ですが。
表示登記だけでもOKかどうかで迷ったかもしれません。


②の解説:誤り

【問題文】
借地権者が登記ある建物を火災で滅失したとしても、建物が滅失した日から2年以内に新たな建物を築造すれば、2年を経過した後においても、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。

借地借家法 第10条第2項(借地権の対抗力等)
前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

建物が滅失した場合、借地権者が借地権を主張できるポイント
①土地に掲示
(掲示内容⑴建物の特定に必要な事項⑵建物滅失の日⑶建物を新たに築造する旨)
➁建物の滅失があった日から2年間
③その後も対抗出来るためには、建物を新たに築造し、その建物に登記をしていること

問題文では、「土地に掲示」すること「建物登記」についての記載が抜けているため、それでは、第三者に対抗することが出来ません。

そのため、答えは【誤り】となります。
基礎知識です。
建物が滅失された場合、新たに建物を建築するまでの流れをイメージできるようになりましょう。

③の解説:誤り

【問題文】
土地の賃借人が登記ある建物を所有している場合であっても、その賃借人から当該土地建物を賃借した転借人が対抗力を備えていなければ、当該転借人は転借権を第三者に対抗することができない。

土地の賃借人が登記ある建物を所有している場合なので賃借人は、借地権を第三者に対する対抗する権利をもっていることになります。

ポイントは、その賃借人からさらに賃借した転借人は、第三者に対抗力を持つことが出来るのか?というのがポイント。

最判昭39.11.20
土地賃借人の有する借地権が対抗要件を具備しており、かつ転貸借が適法に成立している以上、転借人は、賃借人(転貸人)がその借地権を対抗しうる第三者に対し、賃借人の借地権を援用して自己の転借権を主張しうるものと解すべきである。

上記のように、最高裁にて判決が出ています。
この情報が無かったとしても、借地借家法は、賃借人の保護を観点に作られていることを想定すれば、転借人の権利を守れることを推測することができると思います。

そのため、答えは【誤り】となります。


④の解説:正しい

【問題文】
借地権者が所有する数棟の建物が一筆の土地上にある場合は、そのうちの一棟について登記があれば、借地権の対抗力が当該土地全部に及ぶ。 

借地借家法 第10条第1項(借地権の対抗力等)
借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

一筆の土地上に複数の建物がある場合、そのうち1棟の建物について登記があれば、借地権の効力は、土地全部に及びます。

そのため、答えは【正しい】です。
借地借家法は、賃借人の保護を観点に作られていることを想定すれば、転借人の権利を守れることを推測することができると思います。

<まとめ 正解:4>
①は、基礎問題です。
②は、基礎問題です。
③は、判例上の問題ですが、推測出来ます。
④は、基本的考え方があれば、推測できます。

知識だけでは解けない問題もありましたが、考え方をしっかり押さえておけば難しい問題ではありません。こうした問題を解ける力をつけましょう。

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