令和2年(2020年12月)問14<不動産登記法>
不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 表題部所有者が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者について相続があったときは、その相続人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
- 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地については、分筆の登記をすることができない。
- 区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。
- 登記の申請書の閲覧は、請求人が利害関係を有する部分に限り、することができる。
解答
①の解説:正しい
【問題文】
表題部所有者が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者について相続があったときは、その相続人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
- 不動産登記法30条(一般承継人による申請)
- 表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
記載の通りです。
具体的な例としては、表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記を申請するというのは、たとえば土地の分筆や合筆を行う場合などです。分筆や合筆によって、あらたな土地の表示の登記の申請が必要になります。
元の所有者が、その登記申請を認めてもらった状態で、相続が起きてしまった場合、相続人は、相続登記をする前に、当該表示に関する登記を申請することができるということです。
そのため、答えは【正しい】です。
表示登記についての基礎知識を持っていると具体的なイメージが推測できると思います。
②の解説:誤り
【問題文】
所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地については、分筆の登記をすることができない。
「所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地」とは、どのようなものがあるかというと、抵当権の登記が一番わかりやすいと思います。
なので、例えば
抵当権が設定された土地を分筆登記することが出来るかどうか。
ということですが。
ポイントは、分筆することで抵当権者に問題が発生するか?ということです。
実は、分筆する時に、それぞれの土地に抵当権を登記して、共有担保すれば何も問題ありません。
そのため、答えは【誤り】となります。
③の解説:正しい
【問題文】
区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。
区分所有法 第48条第1項(区分建物についての建物の表題登記の申請方法)
区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。
一棟マンションの場合は、一括して原始取得者(分譲業者)が区分建物の登記をして下さいということです。 各区分建物(専有部分) 毎に申請されると事務処理としても非常に煩雑になりますね。したがって、分譲業者がまとめて登記を行っています。
そのため、答えは【正しい】です。
④の解説:正しい
【問題文】
登記の申請書の閲覧は、請求人が利害関係を有する部分に限り、することができる。
- 不動産登記法 第121条第2項(登記簿の附属書類の写しの交付等)
何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記簿の附属書類(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求することができる。ただし、前項の図面以外のものについては、請求人が利害関係を有する部分に限る。
前項の図面以外のものとは
土地所在図・地積測量図・地役権図面・建物図面・各階平面図
上記の通り、【正しい】です。
<まとめ 正解:2>
①は、難しい
②は、過去に出題されたことがある。
③は、難しい
④は、難しい
全体的に難しかったと思います。解けなくても問題ありませんが。
基本的な専門用語の意味や、登記の仕組の全体像はしっかり理解しておけば、知らない知識が問われても、答えを推測することができます。
深追いは、禁物な分野ですが。基礎用語や登記の仕組はしっかり押さえておきましょう。