令和2年(2020年12月)問25<地価公示法>
地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 土地鑑定委員会は、その土地に地上権が存する場合であっても、標準地として選定することができる。
- 土地鑑定委員会は、標準地について、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求めるものとし、当該2人以上の不動産鑑定士は、土地鑑定委員会に対し、鑑定評価書を連名で提出しなければならない。
- 土地鑑定委員会は、標準地の正常な価格を判定したときは、標準地の単位面積当たりの価格のほか、当該標準地の価格の総額についても官報で公示しなければならない。
- 土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、標準地として選定されている土地を取得する場合において、当該土地の取得価格を定めるときは、公示価格と同額としなければならない。
解答
①の解説:正しい
【問題文】
土地鑑定委員会は、その土地に地上権が存する場合であっても、標準地として選定することができる。
前項の「正常な価格」とは、土地について、自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引(農地、採草放牧地又は森林の取引(農地、採草放牧地及び森林以外のものとするための取引を除く。)を除く。)において通常成立すると認められる価格(当該土地に建物その他の定着物がある場合又は当該土地に関して地上権その他当該土地の使用若しくは収益を制限する権利が存する場合には、これらの定着物又は権利が存しないものとして通常成立すると認められる価格)をいう。
地価公示とは、土地の価格を判定して、その価格を国民に公表することで土地の価格の指標をしてもらうことが目的になります。
なので、現状に複雑な条件や権利関係があったとしても、そうしたものがないものとして通常成立すると認められる価格を求めていきます。
なので、現状地上権などの権利が存在していたとしても、標準地に選定することが出来ます。
そのため、答えは【正しい】です。
基礎問題です。
実務で使っている人にとっては、そうだよね。といった感覚で解けると思います。
知らない人は、実際に公示価格を調べてみてみると良いと思います。
様々な建物が建っていたとしても、それはないものとして算出されています。
②の解説:誤り
【問題文】
土地鑑定委員会は、標準地について、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求めるものとし、当該2人以上の不動産鑑定士は、土地鑑定委員会に対し、鑑定評価書を連名で提出しなければならない。
なので、答えは【誤り】です。
2名以上の不動産鑑定士が提出することは、わかっていても連名かどうかまで把握していないため、答えに詰まってしまった人もいるかもしれませんね。
③の解説:誤り
【問題文】
土地鑑定委員会は、標準地の正常な価格を判定したときは、標準地の単位面積当たりの価格のほか、当該標準地の価格の総額についても官報で公示しなければならない。
公表される内容
①標準地の単位面積当たり(=1㎡)の正常価格
②標準地の所在の郡、市、区、町村、字、地番
③標準地の地積、形状
④標準地とその周辺の土地の利用状況など
標準地の単位面積当たりの価格については公表されますが。
当該標準地の価格の総額については、公表されません。あくまで国民が土地を取引する指標になるものですので、その土地そのものの総額を知らせるのが目的ではありません。
なので、公表するのは、総額ではなく単価ということになります。
そのため、答えは【誤り】です。
基礎問題です。
④の解説:誤り
【問題文】
土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、標準地として選定されている土地を取得する場合において、当該土地の取得価格を定めるときは、公示価格と同額としなければならない。
もともと、公示価格は「取引」において指標とするよう努めなければならない。
といった努力義務ですので、強制力はありません。
そのため、答えは【誤り】となります。
基礎問題です。
<まとめ 正解:1>
①は、基礎問題です。
②は、迷う人もいたと思います。
③は、基礎問題です。
④は、基礎問題です。
②については、迷う人もいたかもしれませんが。それ以外は基礎問題でしたので得点できたと思います。