令和2年(2020年12月)問28<媒介契約>
宅地建物取引業者Aが、BからB所有の宅地の売却について媒介の依頼を受けた場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、この問において「専任媒介契約」とは、専属専任媒介契約ではない専任媒介契約をいうものとする。
ア. AがBとの間で専任媒介契約を締結した場合、Bの要望により当該宅地を指定流通機構に登録しない旨の特約をしているときを除き、Aは、当該契約締結日から7日以内(Aの休業日を含まない。)に、当該宅地の所在等を指定流通機構に登録しなければならない。
イ. AがBとの間で専任媒介契約を締結した場合、AはBに対して、当該契約に係る業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければならない。
ウ. AがBとの間で一般媒介契約を締結し、当該契約において、Bが他の宅地建物取引業者に重ねて依頼するときは当該他の宅地建物取引業者を明示する義務がある旨を定める場合、Aは、Bが明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を宅地建物取引業法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。
エ. AがBとの間で一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該宅地の価額について意見を述べるときは、不動産鑑定士に評価を依頼して、その根拠を明らかにしなければならない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
解答
アの解説:誤り
【問題文】
AがBとの間で専任媒介契約を締結した場合、Bの要望により当該宅地を指定流通機構に登録しない旨の特約をしているときを除き、Aは、当該契約締結日から7日以内(Aの休業日を含まない。)に、当該宅地の所在等を指定流通機構に登録しなければならない。
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。
宅地建物取引業法 第34条の2第5項
宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。
宅地建物取引業法 第34条の2第10項
第三項から第六項まで及び前二項の規定に反する特約は、無効とする。
宅地建物取引業法施行規則 第15条の10(指定流通機構への登録期間)
法第34条の2第5項の国土交通省令で定める期間は、専任媒介契約の締結の日から7日(専属専任媒介契約にあつては、5日)とする。
それぞれの媒介契約の期間等については、基本として覚えている必要がありますが。
専任媒介・専属専任媒介の場合は、下記の2点も確認しておきましょう。
1.指定流通機構への登録は、依頼者が秘密だから載せないでといっても登録義務あり
2.依頼者が自動更新を望んだとしても不可、依頼者の申出に限り、更新可能
問題では【Bの要望により当該宅地を指定流通機構に登録しない旨の特約をしているときを除き】となっておりますが、登録が義務があるためこれが誤りです。
そのため、答えは【誤り】です。
基礎問題です。
イの解説:誤り
【問題文】
AがBとの間で専任媒介契約を締結した場合、AはBに対して、当該契約に係る業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければならない。
媒介契約の種類
上記の表のとおり、答えは【誤り】です。
基礎問題です。
ウの解説:正しい
【問題文】
AがBとの間で一般媒介契約を締結し、当該契約において、Bが他の宅地建物取引業者に重ねて依頼するときは当該他の宅地建物取引業者を明示する義務がある旨を定める場合、Aは、Bが明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を宅地建物取引業法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。
宅地建物取引業法施行規則 第15条の9第3号(媒介契約の書面の記載事項)
依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを許し、かつ、他の宅地建物取引業者を明示する義務がある媒介契約にあつては、依頼者が明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によつて売買又は交換の契約を成立させたときの措置
その時に、業者名を明示する「明示型」と「非明示型」があります。
「明示型」とは、複数の業者と契約したことを売主が、明示しなければならないということですが、その場合、もし、明示しなかった場合どうするかを媒介契約書に記載する必要があります。要は、明示しなかったらどんな罰則があるかを事前に分かるようにすることでトラブルを防いているということです。
そのため、答えは【正しい】です。
基礎問題です。
エの解説:誤り
【問題文】
AがBとの間で一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該宅地の価額について意見を述べるときは、不動産鑑定士に評価を依頼して、その根拠を明らかにしなければならない。
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。
当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額
宅地建物取引業法 第三十四条の二第2項
宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
そこまでする必要はありません。
そのため、答えは【誤り】となります。
基礎問題です。
<まとめ 正解:1>
①は、基礎問題です。
②は、基礎問題です。
③は、基礎問題です。
④は、基礎問題です。
個数問題ではありましたが、全て基礎問題でした。